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野菜の栄養と効果

和洋女子大学 家政学部 教授 坂 本 元 子



 野菜の摂取量が減少したという言葉を耳にするものですが、どうもそうではないらしい。国民栄養調査によれば、昭和24年の野菜の1人一日当たり摂取量は195g、40年で210g、50年で257g、60年で260g、平成12年では290gとなっており、この約50年の間に野菜の摂取量は増加の一途を辿っていることになります。日本人にとってはだいこん、はくさい、なす、きゅうりなどの白色野菜は不可欠のもので摂取に変動は少ないようです。また、肉類中心の西欧型料理の摂取増加は緑黄色野菜の摂取を増加させています。

 しかし、摂取量の平均値でなく、年齢別の摂取量を観察しますと、子どもの摂取量は野菜嫌いが多い理由で減少傾向であり、高齢者の摂取量は、健康に留意するという理由で増加傾向を示しています。問題は子どもの野菜嫌いをどうするかということになります。

 子どもはなぜ野菜が嫌いなのでしょうか?その理由は(1)硬い、(2)味がない、(3)パサパサしている、という感触によるもののようです。また、調理担当者の野菜を消費しない理由に、「調理が面倒」だというものがありますし、「野菜は生で食べるほうがビタミン、ミネラルを多く摂取できる」という信仰があるようです。この理由が子どもの野菜嫌いを作っているようです。

 嫌いな理由が硬い、味がない、パサパサしているというものであれば、調理して味を付けてやればおいしく食べられるものです。特に子どもはタンパク質の味が好きです。肉やアミノ酸の味を付けて調理して食べれば、柔らかくなり、味もつき、パサパサ感も無くなり、まず食べる量が増えてくるでしょう。緑黄色野菜にはビタミンAやEが含まれており、油でいためるとこれらのビタミンは吸収率が高まります。面倒がらずに調理に手を加えることが大切でしょう。

 野菜の健康上のメリットには、食物繊維やビタミン、ミネラルが多く含まれることで、便秘や大腸がんの予防になること、また、皮膚や目を丈夫にし、風邪やストレスから体を守るための抵抗力をつける「若返りのビタミンC」があり、「体の老化を遅らせるビタミンE」も含まれています。

 最近著しく進んだ研究分野で、野菜の最大の特徴は、野菜や果物を多く摂取することで、多くの部位のがんに対して予防的に働くことが明らかになりました。その有効な成分として抗酸化作用を示すビタミンA、C、E、やフラボノイド類、イソチオシアネート類、ポリフェノール類、グリチールリチン類、カルコン類などが発見されました。ポリフェノール類はがんの予防のみならず、高血圧、動脈硬化の予防にも効果があることが明らかになっています。

 現代の生活習慣病の予防として野菜、果物は最適の食品といえましょう。大いに野菜を活用しましょう。



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