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有機農産物に対する消費者の関心の高まり

主婦連合会                         
参与 和 田 正 江



 最近、デパートやスーパーマーケットなどで「有機JASマーク」を付した多くの野菜を見かけます。有機農産物JAS規格の概要は、

 ・二年以上、原則として農薬や化学肥料を使用していない水田や畑で栽培すること。(農薬や化学合成肥料は、やむを得ない場合、リスト化されたもののみ使用可能。)

 ・遺伝子組換え由来の種苗を使用しないこと。

 ・水耕栽培は除外すること。

 ・生産から出荷までの生産行程管理・格付数量などの記録を作成すること。

などです。

 振り返ってみると、1980年代の中頃から有機農産物に対する消費者の関心が高まり、いわゆる有機農産物を扱う店が急増し、有機栽培、無農薬、低農薬などの表示が溢れました。

 当時の神田市場のそばの包装用品を扱う店で「有機」のラベルが100枚500円で誰でも買えました。行政は充分な対応ができず、1992年に農水省が「有機農産物等の特別表示ガイドライン(案)」をまとめ委員会で検討が始まりました。主婦連をはじめ、多くの消費者団体は、学習会、見学、農水省との話し合い、申し入れを繰り返しましたが、多くの問題を残したままガイドラインは実施に移されました。その後2001年に「有機農産物」だけがJAS規格となり、「特別栽培農産物」がガイドラインとして残りました。更に同ガイドラインは消費者の指摘を踏まえ大幅に改正され、本年4月から施行されました。十数年かかってやっと一段落というところです。

 デパートやスーパーの売場で、有機農産物は着実に売上を伸ばしている由です。愛用者が定着してきたともいえるでしょう。

 国としては2003年に公表した「農林水産環境政策の基本方針」において「環境保全を重視する農林水産業への移行」を掲げ、10項目の基本方策を明記しています。環境保全を重視する政策が本物であるならば、食の安全・安心を担保する有機農業や環境保全型農業などを本気で進めてほしいと願っています。

 農水省の中でも、環境保全型農業対策室の担当者は一生懸命ですが、その他の職員の中には、環境保全型農業、有機農業などは特殊な分野と思っている人がいるのではないでしょうか。

 先日、農林水産技術会議の研究基本計画検討専門委員会での意見交換に出席しました。資料を拝見し、「農林水産生態系の適正管理による環境形成のための研究開発」が研究開発の重点目標の一つになっているのを見て、是非進めてほしいと願い「有機農業及びエコ農業に関わる多面的な技術開発の推進」を求めてきました。

 みのりの秋となり、有機栽培の新米が届きました。20年以上のお付き合いです。神奈川県の親戚から、みかん、栗、ミョウガ、あしたばの宅急便が届きました。秋の恵みをありがたく頂きながら主婦連に通っています。



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