農事組合法人 和郷園
代表理事 木 内 博 一
ここ最近、農業をアグリビジネスに置き換えた新しい感覚での農業生産法人が全国各地に誕生しております。私たち「和郷園」も農業を生産事業と捉えて、今から13年前に産直流通に取り組み現在に至っております。
この13年間の間に感じることは、「3K」の代表格に思われていた農業が、少しずつ見直され始め都市に住む非農家の若者でさえ農業に興味を示す時代に変化したことは、日本農業の将来に対し明るさの兆しをもたらしていると私は感じております。
ここで、私が感じることは、《対称軸》という言葉のキーワードを常に感じさせられます。なぜ農業なのか、それは、自然、時間的ゆとり、人間らしさetc・・・とにかくバブル期の象徴だった仕事をバリバリこなすビジネスマンの姿だけではないもう一つの象徴の姿が農業を通じて始まりつつあるように感じられます。機械化、IT化の加速と共に追及される経済性又は効率化そんな競争社会だけでないもう一つの産業それが「生命産業」農業に結びついているように思うのです。
そこで、そんな新しい農業「生命産業」のキーワードそれが従来の農業生産方式に対しての《対称軸》だと思います。(市場流通に対して産直流通=見た目、規格に対して安全性、美味しさ)生産現場からの積み上げ提案、消費者サイドからの要求がどんどん既存の農業現場を変化させてゆく。そこに新しいアグリビジネスの誕生をもたらしている様に感じられます。
しかし、それは農業情勢の変革の過程における《対称軸》の役割が大きなキーワードになっており、市場があるから産直、慣行栽培があるから有機栽培そんな対称軸の元にアグリビジネスの成長があるように感じられます。そんな、《対称軸》も時代の急激な変革の中で、一瞬でかたよりはじめ《対称軸》の役割が終わったときに初めて日本農業の未来が見えはじめるのではないでしょうか。
そのとき農業は、『質素だけれども野暮じゃない』そんな農業が存在できるかは、これからの消費者、流通事業者のモラルに左右されると思われます。
そしてもう一つの農業(アグリビジネス)は企業を巻き込んで開かれた形での生産事業を展開してほしいと考えます。
最後に、技術大国日本の技術は、自動車、電気製品だけでない『農業技術』こそ、もう一つの技術だと自信をもって取り組んで行きたいと考えております。