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卸売市場の本質的な意義とこれから

横浜丸中青果株式会社 

代表取締役社長 鈴 木 邦 之  

 卸売市場法改正にともない、昨今は一般紙、業界紙等を中心に市場に関する様々な議論や見解を目にすることが多くなっているが、一般に市場経由率の低下とその対応の遅ればかりが強調されており、長年にわたり青果卸売業に携わってきた私としては、日本の生鮮流通において卸売市場が果たしている現在の役割について正当に評価されていないように感じられ、大変残念である。

 青果卸売会社の立場で言わせてもらえば、元来、青果物の特性として、天候による収穫量の変動は宿命のようなものであり、それゆえに一般の流通取引とは異なる相場変動を伴う委託取引を中心とした現在の姿が長年にわたって築き上げられてきた。全く市場流通を利用しない青果物取扱者がいて、それが年々増加しているとしても、そうしたいわゆる「市場外取引」も産地があるいは最終ユーザーが何らかの形で市場流通を利用していることにより成り立っている側面が必ずあるはずであり、そのことは無視してはならないと考える。

 卸売市場法の改正は青果物流通に大きな影響を与えると予想するが、青果物の宿命から生じる産地と市場がつくっている現在の微妙でかつ基本的な関係は変えられるはずはなく、我々卸売市場がその役割を果たせなくなったとしても誰かがその役割を担わなければならない。もちろん卸売市場法による規制があったとはいえ、卸売市場、卸売会社に流通業としての機能が不足しており、改善努力が見られないという批判は率直に受け入れなければならないが、市場流通が持つ数量調整、相場価格形成の機能は簡単に築き上げることはできないし、この機能を年間を通じて維持、継続していくだけでも非常な苦労があり、それが青果物流通を成り立たせる上で最も重要であることをぜひご理解いただきたい。

 今後の規制緩和が現在の市場流通の良い面を生かし、足りなかった面を補いやすくする後押しとなるように、我々卸売会社は懸命に努力していく覚悟である。関係者の方々にはもう一度青果物流通の本質を見つめ直し、現在の市場流通機能の利点についてご理解いただく一方で、規制緩和を機に取り組むべき課題と現在の問題点については厳しくご指摘をいただき、我々がその課題、問題を克服していくことでこの度の市場法改正をぜひとも青果物流通の発展と進化につなげていけるようにしたいと願っている。



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