(野菜情報 2014年4月号)

今月の野菜

産地紹介:佐賀県 JAさが白石地区
JAさが白石地区のたまねぎ生産

~豊かな土壌で栽培される高品質なたまねぎ~

佐賀県農業協同組合 園芸部 野菜花き指導課

産地の概要

 JAさが白石地区(以下、「JA」という。)がある白石町(図1)は、佐賀県の中南部に位置し、町の南から東にかけて有明海に面している。町の総面積の約85パーセントが田や畑であり、水稲および園芸の複合農業の盛んな地域である。
 管内の気象は、年間平均気温が16度と温暖な気候で、年間降水量は1,450ミリ前後で、冬期の積雪はほとんどない。土質は海成沖積土の重粘土質で地力に富み、古くから食料供給産地として、水稲はもとより、たまねぎ、れんこんなどをはじめ、全国的にもトップクラスの野菜生産量を誇るとともに、全国的に評価の高いブランド農産物が生産されている。管内の野菜生産は、露地野菜が中心であり、その中でも野菜は、たまねぎ、れんこん、いちご、アスパラガス、キャベツなど、環境を生かした特色ある野菜生産が行われている。


白石地区のたまねぎ栽培の歴史

 JA管内のたまねぎ栽培は、昭和37年から、白石町福富(旧福富町)で20名の共同育苗により、水田秋冬作野菜として、6ヘクタールで栽培されたのが始まりである。その後、生産の安定化、収益性の高さなどが認識され、年々作付の拡大が飛躍的に図られた。その後、41年に国の野菜指定産地の指定を受け、47年には、早生種のマルチ栽培が普及したことから、作型の広がりによる規模拡大につながり、現在では、都府県産第1位のたまねぎ供給産地となった。
 しかし、生産振興を行う上で、重量野菜であるたまねぎは、重労力を必要とする作業が多いため、作業性の限界から一層の面積拡大が難しいという課題があった。このため、平成9年頃より、栽培および収穫作業負担の軽減を行うべく、当地区に適した機械化一貫体系の取り組みを行った。第1段階として、収穫作業労力の軽減化を図るため、歩行型2条収穫機を対象として選定し、関係機関が一体となりほ場試験を繰り返した。試験結果を基に、メーカーに改良要請を行ない、佐賀県における収穫作業に最も適した仕様が完成した。10年から県単事業等を活用し、本格的な導入が行われた。また、手間のかかる定植作業についても、13年度より2条歩行型半自動定植機の導入により、作業負担の軽減が図られた。これらにより、主作業における機械化一貫体系が確立された。25年現在、JAのたまねぎ生産規模は、生産者1,300人、面積1,308ヘクタールを誇り、県内のたまねぎ系統出荷の6割を担う一大産地となっている。
 また、JAでは、生産者の貯蔵用たまねぎ生産の乾燥および保管労力の軽減と、市場への安定出荷を図るため、19年より予措よそ保管(除湿乾燥)施設(写真1、2)を整備し、7~9月の安定出荷に努めている。


たまねぎの栽培から出荷について

①は種、育苗
 たまねぎの苗については、各生産者が育苗している。育苗作業は、セル成型育苗(写真3)と地床育苗があり、機械化体系の普及により、定植機に対応できるセル成型育苗の割合が増加している。なお、は種時期は、9月中旬~同月下旬である。
②定植
 定植時期は、品種によって異なるが、10~12月にかけて行われる(写真4)。マルチ栽培では、定植前のほ場準備として、耕うん後、雨水の跳ね返りによる病害防止と生育中の地温確保のため、マルチングを行う。定植作業は、定植機を使用することで、時間および労力の低減が図られている。


③肥培管理
 ほ場は、たい肥等の有機質資材で土作りをし、土壌改善に努めている。なお、栽培期間が長いため、露地栽培は栽培期間中の追肥を実施するが、マルチ栽培については、物理的に追肥が困難なため、全量元肥となっている。
④ほ場の管理
 定植後、ほ場が過乾燥の場合は、かん水を行い、定植苗の活着を促す。
 病害虫防除については、1月下旬頃より定期的に実施している(写真5)。2月までは厳冬期であることから、主に病害に対する殺菌剤の散布が中心となる。暖候期になる3月以降は、害虫の発生が多くなることから、殺虫剤を加えた散布となる。両時期とも、病害虫密度を抑制するための防除が中心であり、農薬使用基準を順守し、適正な時期と量を守った予防的散布を励行している。

⑤収穫と調整
 定植から収穫までは、栽培時期が品種により異なり、栽培時期に合わせた適期収穫を心掛けている。収穫作業(写真6、7)は、収穫後、品質低下を防ぐために外葉と根の向きをそろえ、ほ場で乾燥させる。4~5月にかけて出荷されるものは、ほ場で根と外葉を切り落とし、ほぼ調整された状態で、各生産者の作業場または共同選果場に運搬される。


⑥集出荷施設体制
 出荷は、共同選果(機械選果)と個人選果に大別され、共同選果については、3カ所の共同選果場が整備(強制風乾処理施設併設)されている(写真8、9)。特に、最近では、選果労力軽減の観点から、共同選果の割合が高まっている。


 個人選果分については、集出荷施設による集荷が午前10時まで行われ、当日中にトラック輸送により、各市場に出荷されることから、収穫後2日目には市場販売される。
⑦品質管理
 生育期間中は、栽培における生産安定と高品質化を図るため、JAより全生産者へ定期的に管理情報を発信し、栽培技術の平準化を図っている。
 また、生産者が集まる栽培研修会を行い、品質の維持および向上に努めている。出荷開始前に、全生産者の農薬使用記録簿チェックと残留農薬検査も実施しており、安全・安心なたまねぎ出荷を心掛けている。

今後に向けて

 安定出荷を目標に、近年の異常気象といった気候変動に対応すべく、JAおよび部会では、新品種試験や肥料・農薬試験などに取り組んでいるところである。また、現地ほ場を含めた生産者の勉強会も開催されている。県外の他産地と同様に、高齢化により生産者戸数の減少傾向となっているが、JAでは、機械化体系の普及による規模拡大と栽培技術の向上により、さらなる産地強化を図っているところである。

一言アピール

 JAさがのたまねぎは、ミネラル分に満ちた豊かな土壌で栽培され、品質の良さはもちろん、甘みもほどよく、市場でも高い評価を受けている。特に、3月上旬から出荷される「さが春一番たまねぎ」は、たまねぎ特有の辛みが少なく、生でも食べられると好評である。出荷は10月まで続き、多くの消費者に召し上がっていただけるよう、関東を中心とした各地へ出荷されている。
 JAさがのたまねぎを、是非味わっていただきたい。

お問い合わせ先

JAさが 本所 園芸部 野菜花き指導課
〒840-0803
佐賀県佐賀市栄町2-1
TEL:0952-26-2138 FAX:0952-26-2140
URL:http://jasaga.or.jp/