◆ 産地の概要

 佐賀県農業協同組合(以下、「JAさが」)管内の地形は、佐賀県の地勢(5地域)のうち、大別して3つの地域に分けることができます。県南部を占める佐賀平たん地域は、筑紫平野および佐賀平野からなり、その土地は肥よくで生産力が極めて高い穀倉地帯です。県北部の天山(標高1,046.2メートル)および脊振山麓地域は、筑紫山脈の西半分を構成し、みかんを主とした果樹、米、野菜地帯です。
 また、長崎県境にまたがる多良岳地域は、扇状台地が発達し、台地間には水田、台地の上には畑地が開け、暖傾斜地も多く、気候に恵まれていることから、みかんの産地となっています。こうした自然環境・立地条件を生かし、米・麦・大豆の土地利用型農業を中心に、野菜、果樹、畜産など幅広い農業が営まれています。
 平成20年度のJAさがの農業販売額は、全体で905億8千万円であり、その内訳は、農産(米・麦・大豆)266億2千万円、果樹127億7千万円、野菜241億9千万円、花き特産20億6千万円、酪農22億6千万円、畜産226億7千万円です。
 その中で野菜の内訳は、いちご85億1千万円、たまねぎ51億5千万円、アスパラガス23億9千万円であり、アスパラガスは、販売額では3番目の売上げがあるなど、当JA管内の主力野菜のひとつです。

 (佐賀県におけるアスパラガス栽培の歴史)
 佐賀県にアスパラガスが導入されたのは昭和29年で、県東部の鳥栖市で試験的に栽培されたのが始まりです。その後、一時栽培は途絶えましたが、昭和46年に国の減反政策として再び鳥栖市で露地栽培が8ヘクタールの規模で開始されました。当時は「単年どり」を基本としていましたが、病気などの発生により収量が伸び悩み、面積は減少の一途をたどり、昭和57年頃までは、細々とした栽培が続けられました。
 昭和58年に病気対策として雨よけハウスが導入され、それに併せて、それまで「春どり」であった収穫を試験的に「夏どり」を試みたことにより、収量は飛躍的に伸び、それから、県内の各地域にアスパラガス栽培が普及していきました(図1)。平成4年には、作付面積が68ヘクタールにまで増加し、日本一のアスパラガス生産地を目指すため、佐賀県アスパラガス部会を発足させ、県内産地間の情報の共有や技術研さんを積んできました。
 平成21年産の系統取扱いの実績では、生産者数は693名、作付面積では127ヘクタールにまで増加し、出荷数量は2,810トン、販売金額は26億円を超える実績となり、日本でトップクラスの産地となっています(図2)。

◆ 生産・栽培上の特色

 温暖な気候に恵まれた佐賀県におけるアスパラガスの栽培は、雨よけハウスを利用して1月〜 10月までの長期間にわたり収穫が行われます。栽培品種は「ウェルカム」で、全国的にも早い時期から出荷が開始されています。春芽の収穫は3月にピークを迎え、夏芽の収穫は6月下旬から7月にかけてピークを迎えます。
 春芽は、ハウスを保温して地下部の養分を使って萌芽する若茎を収穫しますが、春芽収穫はある一定の期間で打ち切り、その後10月までは、茎を伸ばして茎葉を繁茂させ、新たな養分を作り出して地下部から萌芽してきたものを収穫します。収穫終了後は、翌年の春芽に備えて十分に低温にあてて地下部に養分を蓄えさせます。このサイクルを定植後から10数年続けていきます(図3、図4)。

◆ 栽培の課題への取組み

 (安定した出荷への取組み)
 佐賀県におけるアスパラガスの栽培は前述のとおり、雨よけハウスで加温施設がありません。寒い時期に収穫を行う「春芽」は、外気温の影響を受けやすい環境にありますが、安定的に出荷するため1月〜2月の保温を中心に、12月から3月までの幅広い期間で保温を実施し、1月〜5月までの出荷量の確保に取り組んでいます。
 (夏場の高温対策)
 近年は夏場の気温が高くなり、葉やけや病害が多数発生しやすい条件下になってきています。樹勢を維持するためのハウス内の環境改善への取り組みとして、サイドビニールなどの開放はもちろんのこと、遮光資材などを用いて下温対策を図っています。下温することにより、夏場に収穫された物の秀品率が向上し、労力の軽減が期待でき、収量確保につながっています。
 (収量改善への課題)
 現在では、県内の多くの産地が栽培年数20年目を迎えており、生産者の高齢化や株の老齢化が進行し、一部の産地では収量が低下してきているほ場もあります。平成初期の台風災害や病害により生産性が低下したほ場、または栽培年数が長くなったほ場などでは、収量を回復させるため、積極的に改植が行われていましたが、ほ場によっては前作より生育が不良になり収量が低下する事例もみられ、株が老齢化しても改植ができない場合もあります。その要因としては、病害や土壌の理化学性の悪化、アレロパシー(植物の他感作用)などさまざまな要因が絡み合っていると考えられますが、それぞれの問題を明らかにして、それに対する対策技術を確立することが喫緊の課題となっています。

◆ 出荷の工夫

 (共選・共販体制)
 佐賀県内には、8つの部会組織があり、そのうち7部会が、共選・共販体制による出荷を行っています。
 生産者は、収穫したアスパラガスを27センチの長さに切り揃えて選果場に持ち込みます。その後、自動選別機で大きさ、曲がり具合などにより選別が行われ、長さを25センチに揃えて結束(100グラム束)します(図1)。
 この選果施設の導入・整備によって、規格が統一され、品質も安定した出荷が可能となりました(図3)。また、生産者においても出荷調製作業に要する時間が軽減され、その分をほ場管理に費やすことができるため、規模拡大や収量向上にもつながっています。
 出荷は関東を中心に、近畿、中国四国方面に行われていますが、鮮度の低下が早いアスパラガスを新鮮な状態で消費地に送り届けるため、出荷容器(図2)は発泡スチロールを使用し、輸送も空輸を利用するなど、鮮度保持に努めています。

◆ 販売戦略

 本県産アスパラガスの販売戦略としては、「春芽における輸入アスパラガスとの差別販売」「夏芽における下位等級の有利販売」「アスパラガスの消費拡大」の3つを挙げています。
 「春芽における輸入アスパラガスとの差別販売」については、販売店舗で試食販売を実施し、国産春芽の安全性・美味しさを一般消費者へ伝えることが必要だと思われます。確かに価格面では輸入品の1束当たり98円に対して国産品は同158円〜 198円と割高ではありますが、「新鮮」「美味しさ」「安心」を消費者に伝えることで、輸入アスパラガスに負けない販売力のアップにつなげていきたいと考えています。
 また、各産地に共通した課題と思われる「夏芽における下位等級の有利販売」については、多くなるMサイズ以下の細物をいかにして少しでも高く販売するかがポイントになってきます。7月中、下旬から徐々に増え始めるMサイズ以下の階級について、事前に販売店舗・時期・数量・価格設定を行うことで安値販売を防ぎ、有利販売につなげていくことが必要だと思われます。また、このような販売が店舗と産地の信頼関係を築き、次年度につながる販売対応などが可能になると思われます。
 最後に「アスパラガスの消費拡大」については、出荷量の6割以上を占める夏アスパラガスの消費拡大をいかにして図るかがポイントとなります。具体的には販売店舗における試食販売の実施を中心として、ポスターやレシピを使用して、食べ方の提案を行い、一般家庭の通常の食卓でアスパラガスが消費されることを目標に取り組んでいます。
 また、そのほかの取り組みとして、「佐賀・長崎・福岡・熊本・大分」と連携して、九州を1つのアスパラガス産地とした共通の販促資材を作成、使用するなどして消費拡大に取り組んでいます。
 平成22年産アスパラガスの春芽販売については、輸入品増大などの影響により、厳しい販売結果となりましたが、今後は前述した取り組みを行うことで、夏芽の有利販売につながるよう販売対応を行っていきたいと思います。

佐賀アスパラガス
イメージキャラクター『アスピー君』

九州合同アスパラガス販促資材

一言アピール

 アスパラガスには、ビタミン類やアスパラギン酸というアミノ酸が含まれており、新陳代謝を高め疲労回復や免疫力アップに効果があるといわれています。
 温暖な気候を利用して生産される佐賀県産アスパラガスは、出荷量と出荷期間の長さが全国トップクラスで、長期間にわたって食卓で楽しむことができます。春は太くて甘く、夏は柔らかい佐賀県産のアスパラガスをぜひご賞味下さい。

お問い合せ先

JAさが 園芸部 野菜花き課
〒840 − 0803
佐賀県佐賀市栄町2番1号
TEL:0952 − 26 − 2138
FAX:0952 − 26 − 2140
URL:http://jasaga. or. jp/

| 野菜ブック |  野菜図鑑 | 四季の野菜 |

今月の野菜「アスパラガス」 /  元のページへ戻る