産地紹介


岐阜県各務原かかみがはら
〔にんじん〕

各務原市農業協同組合 営農経済部
営農課 兼松 良行


1.産地の概要
  各務原市は、岐阜県の南部、濃尾平野の北部に位置し、岐阜市の中心部へ8km、名古屋市へは30km圏内にあります。南には木曽川が東西に流れ、愛知県との県境となっています。

 地勢は、標高30〜60mの各務原台地、12〜20mの台地周辺平野、200〜300mの北部及び東部丘陵地からなり、地質は各務原台地が洪積層の黒ぼく土壌、その周辺平野は木曽川、長良川によって堆積された沖積層からなっています。

 交通網は東海北陸自動車道の岐阜各務原ICが西部に位置し、国道21号線、JR高山線、名鉄各務原線が東西に走っています。

 産業は、市の中心部に航空自衛隊岐阜基地があり、航空機・自動車等の金属工業が盛んです。現在は、第3次産業のウェイトが高まってきています。

 急激に進む都市化と社会構造の変化にともない、農業労働力は他産業へと流出し、兼業化と高齢化が一段と進むなかで、限られた農地の有効利用と都市近郊という地理的利点を生かし、にんじん、はくさい、さといもなどの露地野菜を中心に稲作などの栽培が行われています。

 なかでもにんじんの販売額は約5億円で農協全体の販売額の約半分を占めています。

2.栽培の概況
〜5月下旬から6月が出荷最盛期〜

 市内東部に位置する鵜沼地域の砂壌土地帯にて、明治時代末頃より長にんじんが栽培されてきました。昭和37年に短根にんじんが導入され、各務原台地の黒ぼく土壌でも良質なにんじんが生産されることがわかり、それまで主要作物であった加工用かんしょに変わり、急速に作付け面積が伸びました。

 昭和41年頃から冬にんじんの前作としてUS4寸等の品種を使用して、3月中旬播種6月下旬収穫作型で、春夏にんじんの試作を始めました。昭和43年頃からは小トンネル被覆により、播種期を早め、現在のような栽培が始まりました。

 また、昭和42年には冬にんじん、45年には春夏にんじんが国の野菜指定産地となりました。その後は、栽培面積・出荷量とも増加しましたが、昭和60年頃を境に生産者の高齢化・後継者不足等により、栽培面積はやや減少傾向となっています。

 春夏にんじんの作業日程としては、12月〜2月に播種及びトンネル被覆を行い保温しながら発芽をさせます。3月下旬から4月にかけて間引きを行うとともにトンネルを除去し、中耕・土寄せし、防除も同時に実施します。5月から7月上旬まで収穫が続きますが、5月下旬から6月中旬が最盛期となります。梅雨時期と収穫期が重なると品質の低下につながるので非常に気を遣います。特に、冬にんじんの場合は播種時期が夏場なので、用水などが整備されていない圃場では灌水作業に気を遣っています。

 主力品種は「向陽2号」で、他に「彩誉」も栽培されています。春夏にんじんと冬にんじんの作付面積を合わせると163ha、出荷量5,090トン生産戸数144戸、一戸当たりの平均作付面積1.1ha、出荷量35.3トンとなっています。
(平成18年実績、表1)
にんじん畑の様子

表1 各務原産にんじんの生産量推移

キャロベスタによる収穫作業
トンネル被覆し温度を調節している にんじん畑

3.生産体制
〜全国でもめずらしいにんじん二期作〜

 年2作の作付けと長年の連作を維持するため、土づくりや施肥改善、かぶ・だいこん等との輪作体系の導入及び緑肥作物との組み合わせ、土壌消毒の徹底等により良質な農産物の生産を行っています。

 当産地は、都市近郊農業として発展してきましたが、昭和60年以前からの多肥による品質の低下が問題となり、施肥方法の根本的な改善が必要となりました。また、同時期に、硝酸態窒素による地下水汚染が問題視され、岐阜県農業試験場や農業改良普及センター等の協力のもと施肥改善を実施しました。平成6年には有機質含量が多いにんじんのための専用肥料「キャロエース868」を開発、その後、改良を加え、現在は「スーパーキャロエース899」を使用しています。

 また、平成16年には化学合成農薬と化学肥料をそれぞれ30%以上削減した栽培「ぎふクリーン農業」に登録しました。使用した肥料・農薬記帳の徹底と定期的な残留農薬自主検査を実施し、環境に優しい、安全・安心なにんじん産地をアピールしています。

 その他、にんじん掘り取り葉切り機「キャロベスタ」の導入など省力化栽培の推進、園芸用廃ビニール類の収集など環境に配慮した生産にも力を入れています。

 なお、平成20年に、市内東部から北部地域を岐阜中流用水が通水するため、圃場が拡大するので、「にら」などにんじんとの複合栽培の検討を進めています。

にんじん栽培作型

にんじん出荷
出荷目揃え会

4.出荷体制
 平成5年に集出荷予冷施設を建設・稼働し、にんじんを始めとした野菜の一元集荷・鮮度保持・計画出荷ができるようになりました。また、これにより、従来の早朝収穫・当日出荷という過重労働が改善されました。

 出荷形態は10kg段ボールがメインで、葉を切り落とし洗浄・乾燥の後、箱詰めされた状態で保冷トラックで出荷されます。

 出荷規格は春夏にんじんは3L(300g以上)〜2S(70g以下)まで重量でわかれていますが一番多く出回るのはL(160g〜220g)サイズとなります。主な出荷先は、岐阜市場及び名古屋市場並びに北陸市場であり、早期若取り出荷と選別の徹底による、信用力の向上に努めています。

 また、現在はダンボール箱の封緘をボクサー針で行っていますが、今後はボクサー針からテープに切り替えるため、簡易型封緘機の導入を計画しています。

 なお、にんじん部会としては、名古屋松坂屋本店等での消費宣伝会の開催、岐阜県・農業改良普及センター主催の収穫体験ツアーや食の安全セミナーへの協力など消費者との交流も積極的に実施しています。

にんじん洗浄作業
にんじん選別作業
   
消費者との交流会
にんじん収穫体験

5.にんじん加工品
〜美容と健康に「にんじん村」〜

 昭和63年に加工品のにんじんジュース「にんじん村 フルーツ&キャロット」を発売しました。各務原市の推奨を受け、市内を中心に販売し好評を得ています。なお、宅配便による全国発送も行っています。

 「にんじん村」は、果汁・野菜汁100%ジュースで、ビタミンC、ビタミンB2、カロテンの豊富な人参汁40%と温州みかん・りんご・レモンの果汁60%に、ハチミツを加え、飲みやすくしてあります。内容量は190g。1ケース30本入りです。
消費宣伝会
にんじん村

一言アピール

 各務原市の特産品と言えば「にんじん」。全国でも珍しい二期作の産地です。連作障害回避のため、早くから化学肥料の使用を減らし、産地をあげて減農薬栽培に取り組んでいます。
  にんじんにはカロテン、特にβ−カロテンが豊富に含まれています。β−カロテンには抗酸化作用があり、活性酸素を抑えてガンを予防する効果があります。また、β−カロテンは体内でビタミンAに変わり、眼精疲労や角膜の乾燥を予防したり、肌に潤いを与えてくれます。
  カロテンは油に溶ける性質があるので、油といっしょに摂取するのが効果的です。また、外皮近くに多く含まれているので、皮は薄くむくのがお勧めです。
  色が濃くて鮮やかなものほどカロテンが豊富。肩の肉がよく盛り上がってどっしりしたものを選ぶとよいでしょう。また、茎の切り口が細いものは芯も細く、柔らかいので購入の目安にしてください。


お問い合せ先
各務原市農業協同組合 営農経済部
住所:〒509−0106 岐阜県各務原市各務西町4丁目317番地の7
TEL:058−383−5355
FAX:058−389−2007
ホームページ:http://www.ja-kakamigahara.or.jp/

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