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年頭に当たって




新年のごあいさつ


独立行政法人 農畜産業振興機構
理事長 木下 寛之


 あけましておめでとうございます。
 
 野菜は、生産額2兆円と、わが国の農業産出額の4分の1を占め、米、畜産と並ぶ基幹農産物ですが、産地の高齢化等に伴い、近年、作付面積・生産量ともに減少傾向となっています。その一方で、加工・業務用野菜を中心に輸入が増加したため、野菜の自給率は年々低下して平成17年度には79%と8割を割り込み、平成18年度も79%(概算値)となっています。

 一方、最近の輸入野菜の全体の動向についてみると、平成17年の291万トンをピークとして減少してきており、平成19年(1~10月)の累計は、209万トンと前年同期と比べ10.4%減となっております。これは、輸入野菜、特に中国野菜に対する安全面での消費者の不安感の増大がその背景にあると考えています。
 このような状況のため、ここ1~2年が輸入野菜にシェアを奪われた市場を取り戻す絶好のチャンスと考えております。安全で安心できる国産野菜の自給率の向上を図るためには、野菜を安定的に供給できる国内産地の育成と、国内産地の対応の遅れから輸入品にシェアを奪われている加工・業務用野菜の供給を拡大することが重要といえます。

 こうした中、消費者や実需者が求める野菜の安定供給の推進、経営感覚に優れた生産者を中心とする産地の体質強化を図るなどのため、平成19年度から制度の見直しなど新たな取り組みが開始されました。

 まず、野菜価格安定制度・需給安定対策が見直され、契約取引の推進、需給調整の的確な実施および担い手を中心として競争力の高い生産供給体制の確立を目指す産地に対する重点的な支援が開始されました。

 次に、価格が急落した場合に需給調整を行う手法の一つであるほ場廃棄について、「もったいない」との声が国民の間に高まったことを受け、野菜が過剰になった際に需給状況に関する広報を行うとともに、関係者の協力を得て野菜の消費や有効利用を推進するための、生産者、消費者、流通業者などからなる「野菜需給調整協議会」が設立されました。

 さらに、野菜需要全体の約半分を占める加工・業務用需要に対する国産野菜の生産拡大に向け、産地と実需者および流通業者の連携による安定供給への取り組みを優良事例として表彰する制度が創設されました。

 当機構では、指定野菜価格安定対策事業、特定野菜等供給産地育成価格差補給事業、契約野菜安定供給事業などについて制度の見直しの趣旨を踏まえ、その円滑な実施に努めてまいりました。

 また、国内産地と実需者の交流会を東京で2回、大阪で1回開催し、取引の拡大と契約野菜安定供給事業の活用促進に取り組んでまいりました。今後とも引き続きこれらの取り組みの充実に努めてまいります。

 さらに、野菜の輸入動向など、わが国の野菜需給を取り巻く情勢が変化する中、野菜を安定的に生産・出荷をする上で必要な、国内の需給に影響を与える要因や統計データ、加工・業務用野菜の生産に関する先進的な取組み、生産・流通コスト削減に資する情報などを提供してまいります。

 一方、積極的にわが国の農産物を輸出しようという動きが活発化してきております。平成17年4月に農林水産物等輸出促進全国協議会が設立され、平成25年までに輸出額1兆円規模を目指して、官民一体となった努力が続けられています。その中で、野菜については北海道、青森などから台湾、米国にながいもの輸出が行われており、18年の実績は、6,903トン(前年比124.6%)で18億円(同143.6%)となりました。こうした現場情報をできるだけ幅広く収集し、提供していくことも今後とも機構に課せられた責務と考えております。

 また、野菜の消費面については、「1日5皿分(350g)以上」の野菜摂取目標が達成されず、消費者行動を具体的に変化させることも重要となっていることから、消費者に対し、食生活における野菜の重要性など、的確な情報提供の推進に取り組んでまいります。

 当機構は、平成15年10月に独立行政法人として発足し、今日に至るまで皆様をはじめ関係各位の御協力により、順調な業務運営を図ることができたと考えております。

 当機構といたしましては、今後とも、業務の効率化、透明性の確保を一層推進するとともに、農業および関連産業の健全な発展と国民の消費生活の安定に寄与して参る所存でございます。

 本年が皆様にとって希望の持てる年となりますことをご祈念申し上げ、新年のごあいさつといたします。



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