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年頭に当たって




新年のごあいさつ


独立行政法人 農畜産業振興機構
理事長 木下 寛之


あけましておめでとうございます。

 私、昨年9月、山本前理事長の後任として理事長に就任いたしました木下でございます。新年のごあいさつと併せて、就任のごあいさつを申し上げます。

 当機構はわが国農業の大宗を占める畜産、野菜、砂糖、蚕糸の振興業務を担っておりますが、新年を迎え、理事長としてその重責にあらためて、身の引き締まる思いであります。

 前理事長と同様、ご支援、ご鞭撻いただきますようお願い申し上げます。

 さて、野菜をめぐる情勢についてでありますが、わが国の野菜については、産地の高齢化などに伴い作付面積が減少する一方で、低関税、輸送技術の発達等を背景として、国内生産が加工・業務用需要に十分応えきれていないことから輸入が増加してきております。

 また、野菜の消費の面につきましても、「1日5皿分(350g)以上」の野菜摂取目標が達成されず、消費者行動を具体的に変化させることも重要であります。

 このため、平成19年度から野菜価格安定制度・需給安定対策が見直され、契約取引の推進、需給調整の的確な実施および担い手を中心として競争力の高い生産供給体制の確立を目指す産地に対する重点的な支援を行うこととしています。

 あわせて、消費拡大対策の推進、原料原産地表示制度等を通じた適切な情報提供が重要な課題となっております。

 当機構では、このような状況の中で、指定野菜価格安定対策事業、特定野菜等供給産地育成価格差補給事業、野菜の構造改革を支援するための野菜構造改革促進特別対策事業、契約取引を推進するためのセイフティーネットである契約野菜安定供給事業を推進してまいりました。

 特に、契約野菜安定供給事業は、業務用・加工用を中心とする契約取引の円滑な推進に重要な役割を果たす事業であり、年々増大する輸入野菜に対し国内野菜の需要を確保するために、積極的な加入促進を図ることが必要と考えております。本年は、国産野菜の加工・業務用需要の拡大のため、生産者と実需者の交流を推進するなど、契約取引の推進に重点的に取り組んでまいります。

 さらに、野菜の消費につきましても、消費者に対し、食生活における野菜の重要性など、的確な情報提供の推進に取り組んでまいります。

 次に、国際情勢についてみますと、世界貿易機関(WTO)のドーハ開発ラウンドは、昨年7月に交渉が一時中断されました。その後、WTO交渉の行方に影響を及ぼすとみられた米国中間選挙も11月に終了し、WTO事務局と各国により再開に向けた協議が行われている状況にあります。

 一方で、経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)については、締結に向けた動きが非常に活発化しています。

 輸入野菜についてみると、近年増加してきており、特に中国はその過半を占め、わが国の野菜需給に大きな影響を与えております。しかしながら、近年右肩上がりで輸入量が増加してきましたが、昨年については、冷凍野菜等の加工野菜の輸入量は対前年比103%(10月現在)と増加したものの、中国での天候不順等から生鮮野菜の輸入量は対前年比93%(10月現在)と減少し、輸入野菜全体では若干の減少が見られました。とはいえ、わが国の輸入野菜の最大の供給国である中国の今後の生産動向は依然として関心を集めております。

 また、中国一極集中のリスク増加により、ベトナムなどから日本向けの野菜加工品の輸出が増加しています。機構としてこれらの動向も踏まえつつ、今後とも機構職員による海外における野菜の生産・流通・輸出動向などの現地調査および学識経験者等による国内産地、実需者などへの調査を実施し、対日輸出状況、国内産地の対応などについて的確な情報を提供してまいります。

 さらに、積極的にわが国の農産物を輸出しようという動きが活発化してきております。平成17年4月には農林水産物等輸出促進全国協議会が設立され、平成25年までに輸出額1兆円規模を目指して、官民一体となった努力が続けられています。その中で、野菜については北海道、青森などからながいもが、群馬県などからキャベツの輸出が行われており、17年度の実績は、ながいもが5,542トンで13億円、キャベツが1,543トンで1億円となりました。こうした現場情報をできるだけ幅広く収集し、提供していくことも今後機構に課せられた責務と考えております。

 今後とも時代の要請に即応した業務展開を図り、農業および関連産業の発展並びに国民消費生活の安定のため努力してまいる所存です。

 本年が皆様方にとって希望の持てる年となりますことをご祈念申し上げ、新年のごあいさつといたします。



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