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機構から (野菜情報 2011年12月号)


第14回野菜需給協議会の概要

野菜需給部 需給推進課


 独立行政法人農畜産業振興機構は、平成23年11月11日に第14回野菜需給協議会(座長:中村靖彦東京農業大学客員教授)を開催した。
 本協議会では、平成23年産夏秋野菜の需給・価格の実績、平成23年産秋冬野菜の生産(生育)・出荷状況及び需給・価格の見通しなどの情報提供と意見交換が行われるとともに、内閣府食品安全委員会事務局の新本リスクコミュニケ-ション官から「放射性物質と食品の安全性」について説明が行われた。

【平成23年産夏秋野菜の需給・価格の実績】

 事務局から、夏秋野菜の需給・価格の動向について説明。見通しの対象とした夏秋野菜8品目(夏秋キャベツ、たまねぎ、夏だいこん、秋にんじん、夏はくさい、夏秋レタス、夏秋きゅうり、夏秋トマト)は、台風等の影響はあったものの、天候不順によって価格が高騰した昨年に比べ、生育が順調であったことから、夏秋きゅうりを除き、価格は昨年を下回った。

【今後の気象見通し】

 気象予報会社から、今年の秋から冬にかけての天気の動向について、11月及び12月は気温が高めで推移するが、1月は低温傾向となる見込みと説明。また、ラニーニャ現象が発生しており、気温の変動が大きいことに注意が必要と説明。

【平成23年産秋冬野菜の見通し等について】

 野菜需給・価格情報委員会の座長である藤島委員から、秋冬野菜の需給・価格の見通しについて、11月4日に開催された同委員会での取りまとめ結果を説明。品目毎の見通しは以下のとおり。
(冬キャベツ)
 出荷量が不作の前年を上回ることから、価格は、前年を下回る見込み。なお、年内の生育が前進した場合は、年明け以降、価格が前年を上回る可能性がある。
(たまねぎ)
 出荷量が不作の前年を上回ることから、価格は、前年を下回るものの、平年比では上回る見込み。
(秋冬だいこん)
 出荷量が不作の前年を上回ることから、価格は、前年を下回る見込み。なお、年内の生育が前進した場合は、年明け以降、価格が前年を上回る可能性もある。
(冬にんじん)
 出荷量が不作の前年を大幅に上回ることから、価格は、高かった前年を大きく下回り、平年並みとなる見込み。なお、加工・業務用野菜の国産回帰の動きもみられる。
(秋冬はくさい)
 出荷量が前年を上回ることから、価格は、今後の天候にもよるが、前年をやや下回る見込み。特に、気温が高めに推移すれば、需要の減少と出荷量の増加から、価格はさらに下落する可能性がある。
(冬レタス)
 出荷量が前年をやや上回るものの、価格は、前年並みとなる見込み。ただし、1月から2月にかけては出荷量が減少し、価格が平年を上回る可能性がある。
 
(その他秋冬野菜全体の消費の動向など)
[景気、天候などの要因による消費動向]

 景気が低迷しており、消費は減退傾向にある。
 今年の秋は例年より気温が高いため、きのこやはくさい等鍋食材の需要が弱く、逆にレタス、きゅうり、トマト等サラダ食材の需要が依然として順調である。
[震災、原発事故の影響による消費動向]
 原発事故に伴う消費減退は、徐々に薄れてきている。
 ただし、きのこ等の新たな放射性物質の検出や、ホットスポットの報道がされると、関係する県の幅広い品目も敬遠される場合がある。特に、食の安全性への関心が高い学校給食や子供を持つ主婦から敬遠されることがある。
[野菜全体の販売状況]
 消費者が購入しやすい価格帯や量目を工夫し、いままで1個売りしていたものを1/2、1/4等カット売りをしたり、複数個の袋売りのものをバラ売りにしたり、大玉だけの品揃えから小玉等複数の規格をそろえるようにしている。なお、カット売りの増加が販売量の減少につながっている。
 直売所においては、野菜を加工して中食として提供する取組みが盛んになってきている。
 消費者の多様な選択に対応するため、同一の品目について複数産地のものを併売している。また、選択できる利便性から、インターネットを利用した通信販売が活発になっている。


[秋冬野菜の消費動向等]
 一般家庭においては、キャベツ、はくさい、たまねぎ等で柔らかい品種のものが好まれる傾向となっている。一方、業務用のキャベツにおいては、寒玉系のように堅く巻きのしまった歩留りの良いものが好まれる。
 冬場の野菜消費には、蒸し鍋による需要拡大が期待できる。
[野菜の輸入動向]
 ①中国産野菜へのアレルギーの減少、②国産野菜の価格高騰の頻度が高くなっていることのリスクヘッジとして、一定量を輸入により確保しようとする動き、③アジアに進出した外食産業等におけるアジア全域での原料調達の動き、④円高やデフレの進展等から、輸入量は増加傾向にある。
[その他]
 大学進学時や新社会人になる際の一人暮らし等、自炊を始めるタイミングに合わせて食育を行うことが重要である。

【野菜の消費拡大等について】
 協議会会員から、東日本大震災による被災産地の復興支援を含めた野菜の消費拡大の取組みについて報告があった。

【放射性物質と食品の安全性について】
 内閣府食品安全委員会事務局の新本リスクコミュケ-ション官から、放射性物質と食品の安全性について、リスク評価結果を中心に説明があった。

【野菜需給協議会会員から出された主なご意見】

○食育は若いうちに行うことが重要。また、食育により若いうちに料理のスキルアップができれば、高齢になってからの健康維持にも役立つ。

○野菜のバラ売りやカット売りが増えることにより販売量が減ることが心配。

○放射性物質に関する情報提供を若い主婦等に行っていくことが必要。

○健康に対する喫煙や飲酒のリスクと野菜摂取不足のリスクの比較ができれば、野菜の消費拡大に役立つのではないか。

○食品からの被爆について、1か月や1週間の献立に即した数値がわかれば役立つと思う。

次回の開催については、春野菜を対象に3月中旬を予定。

なお、配布資料等は当機構のホームページ
http://www.alic.go.jp/y-suishin/yajukyu01_000116.html
に掲載しておりますのでご参照ください。


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