Colocasia esculenta

taro(英)

taro(仏m)

里芋(和)

稲作が始まる以前に渡来。

江戸時代までは、いもの代表。

里でつくるからさといも。

いもは茎が太ったもの


稲よりも古い野菜

地下茎を食べるさといもは山に自生するやまのいも(自然薯じねんじょ)に対し、里で栽培されることからこの名が。原産地は、インド東部からインドシナ半島。南方で利用されているタロイモも同じ仲間です。

石川早生

(いしかわわせ)

子いも用品種。8〜9月には市場に出る。淡白な味わい。中秋の名月に皮のままゆでる、きぬかつぎによくつかわれる。

日本への渡来は、稲作が始まった縄文時代後期より古いとされています。

さといもは種ではなく、いもで増えます。いもの利用の仕方により、粉質でほっくりとした親いも用品種、ねっとりとした子いも用品種(子いもと孫いもが食用)、親子兼用種に分けられます。

セレベス

親子兼用種。インドネシアのセレベス(スラウェシ)島からきたもので、芽が赤い。ホクホクしていて薄味の含め煮に向く。

【名月に供える、きぬかつぎ】

秋一番に出まわるのは、子いも用品種の石川早生。陰暦8月15日の月見は芋名月ともいい、皮ごとゆでた子いもを供えます。平安時代の女性のかぶりもの、きぬかつぎを思わせるので、皮ごとゆでたさといもを、俗にきぬかつぎとも。塩をふるだけの素朴な味わいです。

土垂

(どだれ)

子いも用品種。ころんとしただ円形で粘りがある。千葉など、関東に多い。一年中出回る。

【昔はいもの代表格】

煮ころがしや、田楽・・・。どことなく郷愁を誘うさといもの主成分はでんぷんですが、いも類のなかでは低カロリーで、たんぱく質やビタミンB1、カリウムも含んでいます。かんしょやばれいしょが渡来する江戸時代まで、さといもはいも類の主流でした。1950年の野菜の生産量ではベスト3に入っていましたが、その後、減少の傾向にあります。さといもは続けて栽培すると連作障害をおこして収量が減るので、毎年畑を変えて栽培します。

八つ頭

(やつがしら)

親子兼用種。親いもと子いもが分球せず塊状になる。ほっくりとして味がよいので、煮ものやおせち料理に使われる。

【皮をむくときは塩を】

混み合った状態を「いもの子を洗うよう」とたとえるのは、かつては桶の中にいもを入れて棒でかきまわしながら洗ったことに由来します。

さといもには独特のえぐみがあり、皮をむくと手がかゆくなります。塩を手につけてむけば、かゆくなりません。

たけのこいも

親いも用品種。地上に頭をだしている形が、たけのこに似ている。長さが60センチ以上にもなり、京いもともいう。冬場に出回る。

【葉柄を食べる、ずいき】

さといもの葉柄をずいきといい、食用にする品種もあります。乾燥したものは、いもがらとも。さといもと別種のずいき専用種の「はすいも」も出回っています。

唐芋

(とうのいも)

親子兼用種。唐芋を土寄せしてエビのように曲げたものをえびいもという。棒タラと炊き合わせた京料理のいも棒に使う。

ずいき・赤

唐芋などの葉柄。太くて大きいので、ずいきとして食用にする。皮をむいてゆで、酢のものなどに。八つ頭の葉柄も食用にする。

ずいき・緑

ずいき専用の「はすいも」の葉柄。柔らかく、えぐ味はない。皮をむき、水にさらしてから乾燥し、保存食に。高知や福岡などが産地。


タロイモ文化圏

栽培は畑で、水田で

さといもは東南アジアや太平洋諸島などの地域ではタロとよばれ、古くから伝統的生活を営む民族の食生活を支えてきました。この地域は、広くタロイモ文化圏ともいわれます。

タロイモの品種はきわめて多く、各民族に独特の多くの品種があります。栽培形態としては、畑でつくるものと、水田でつくるものがあり、植え方も、茎の先端を切って苗として植える方法や、種いもを植える方法があります。

パプアニューギニアの熱帯雨林では、焼き畑による移動耕作もされています。日本では南西諸島などで”たいも(田芋(ターヌウム))”とよばれる品種が水田で栽培されています。

食べ方も民族によって特徴的で、ポリネシアではいもをすりつぶして醗酵させた、どろどろした餅状の”ポイ”を主食にしています。

パプアニューギニアやハワイでは石焼きにして食べます。台湾の蘭嶼(ランユー)では結婚や新築などのお祝いごとに欠かせません。

こちらをクリックしていただくと世界のさといもをご覧いただけます


世界のさといもの仲間

葉の形や立ち方に違いが

私たちが日ごろ食べているさといも(学名:コロカシア)のほかに、東南アジアの一部やオセアニアに分布するくわずいも(学名:アロカシア)、中央アメリカのカリブ海地域で栽培化されたアメリカさといも(学名:キサントソーマ)などが食べられています。いずれもよく似ていますが、葉の切れ込みが深いものや浅いもの、葉が直立しているものや水平なものなどの違いがあります。

増え方いろいろ

子いも・親いも・兼用系

さといもはいもで増え、植えつけたいも(種いも)の上部にできる親いもから子いも、孫いもができます。代表的なパターンは、次の三つ。親いもがあまり大きくならず、子・孫いもを多数増やす子いも系、親いもがよく太り、数は子いも系よりも少ないけれど子・孫いもを増やす親子兼用系、そして親いものみが大きくなり、子いもが少なくてあまり大きくならない親いも系です。


さといもは子孫繁栄の象徴

昔から伝わる各地のいも行事

さといもを食べて農作物の豊作と子孫繁栄を願う各地のいも煮会。秋晴れの一日、河原に大鍋を持ち出して親交を深めます。全国でも、ここだけという奇祭が毎年9月1日に滋賀の集落で行われるいもくらべ祭り。かみしも姿の青年が東西に分かれ、神前でさといもの長さを競う収穫祭で、西が勝てば豊作、東が勝てば不作との言い伝えが残っています。

グリーンインテリアに

涼しげな八つ頭の水栽培

サトイモ科の植物は、水盤で栽培するグリーンインテリアとしても利用されます。なかでも芽と葉の数が多い八つ頭はおすすめ。砂利を敷いた容器に入れ、いもの底がひたる程度に水を注ぎます。3〜4週間前後に葉が出始めます。ゆるやかなカーブで淡緑色の葉を、秋ぐちまで楽しめます。


生産のもっとも多いのは関東と九州。早出しのためにプラスチックフィルムで地面をおおい、地温を上げて栽培している

南西諸島で行われている伝統的な水田栽培。島の斜面に湧き出る水を利用している

くわずいもの赤い実(左)と野生のさといもの花


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