Spinacia oleracea

spinach(英)

epinard(仏m)

菠薐草(和)

ビタミンやミネラル豊富。

ポパイでおなじみ。

品種改良と栽培技術向上で

周年化


おひたしとバターいため

ほうれんそうといえば、おひたし。元禄時代の西鶴の小説にも登場します。昭和初期までの日本のほうれんそうは葉肉が薄くあくの少ない東洋種で、おひたしにむいています。一方、西洋種は葉肉が厚くくずれにくいのでバターいためなど高熱の調理に適しています。

最近は東洋種と西洋種の一代雑種がつくられて一年中栽培されるようになり、調理の用途が広がりました。

一代雑種

現在、市場をほぼ独占しているのが一代雑種の剣葉系と丸葉系。剣葉は葉の基部に切れ込みがあり、葉の形は三角形。丸葉は葉に切れ込みがなく、広だ円。葉柄は太い。

【貧血気味の人の強い味方】

各種ビタミン、ミネラル類が豊富なほうれんそう。ビタミンAは120グラム(約6枚分)も食べれば1日の必要量をカバーでき、鉄分は牛レバーに匹敵。ヨーロッパでは”胃腸のほうき”といわれ、消化吸収のよい食物繊維が胃腸を整え、便通をよくします。

周年栽培されるほうれんそうですが、季節によって品種や栽培日数が違うため、栄養的には冬ものに軍配が。

東洋種

葉肉が薄く、葉が細く深い切れ込みがある。葉先はとがり、根元が紅色。あくが少なく、歯切れよく、淡白な味。おひたしに向く。

【角ばった種から、丸い種に】

ほうれんそうは、昼の長さが長いと、花芽ができて花茎が伸び、味が落ちます。そこで北ヨーロッパで、昼の長い時期でも花茎が伸びにくい、春〜夏まき用の西洋種が生まれたのです。

ところで、西洋種は種の丸いのが主流。秋〜冬まきに適した東洋種はとげのある角種。

現在日本では一代雑種の丸種が多く栽培されています。

西洋種

葉が丸みを帯び、葉肉に厚みがある。土臭さがあり、あくが強い。種にはとげのないものが多い。

【シュウ酸は大丈夫?】

ほうれんそうは結石の原因になるシュウ酸が多いといわれます。このシュウ酸は、ほうれんそうの持ち味である”あく”の成分。ゆでてみずにさらすと溶け出します。よほど大量に食べなければ大丈夫。

また最近は、品種改良によってシュウ酸を少なくした生食用のサラダほうれんそうが人気です。

サラダほうれんそう

生食用に改良した、サラダ専用種。葉が柔らかく、色はやや薄く、切れ込みがない。茎はほっそりしている。

【輸入冷凍ほうれんそう】

新鮮なものをゆでてしぼり、冷凍したほうれんそう。近年の外食産業の発展に伴い、輸送しやすく貯蔵がきき、価格も安い輸入冷凍ものが増加しています。1995年の輸入量は21,000dで、1988年の約7倍にも。その9割以上が中国産です。

サボイほうれんそう

西洋種と東洋種の雑種から育成。ウイルスに抵抗性がある。葉がいちじるしく縮れており、アメリカなどで栽培。


シルクロードを旅した東洋種

地中海を渡った西洋種

西アジア原産で、ペルシャで栽培されていたほうんれんそう。ほうれんそうの「菠薐(ほうれん)」とは中国語でペルシャのこと。

東へは「西遊記」の三蔵法師も通ったシルクロードを経て、回教徒の手により中国へ。西は北アフリカからイベリア半島を経てヨーロッパへと伝えられました。

イタリア・フィレンツェ(英語読みではフローレンス)の名門メディチ家からフランス王家へ嫁いだ女性が大のほうれんそう好きで、今でも「フローレンス風」と名のつく料理には必ずほうれんそうが入っています。

オランダで、品種改良が進んで丸葉が主体の西洋種となり、19世紀にアメリカへ。

日本には、17世紀に中国から葉に切れ込みのある剣葉の東洋種が渡来しました。

西洋種の導入は明治以降。現在は、西洋種と東洋種を交配した一代雑種が主流です。収穫量は千葉、埼玉が全体の2割以上。作付面積は年々増加しています。

ほうれんそうは高温に弱く、25℃以上では立枯病などの病気が発生する。ハウス内で雨をさけ、日よけをして温度を下げて栽培する

生育時期に低温となる春まきや、秋〜冬まきでは保温のため、トンネル栽培をする。雨による病気も防げる。


ほうれんそうで元気モリモリ

ポパイは本当に力持ち

お人よしで底抜けに明るい水兵さんのポパイは、ほうれんそうが活力の素。1929年に誕生したこのマンガは、アメリカの大規模なかんづめ工業者が消費拡大を狙って創作したものです。子供のころ、「ほうれんそうをたくさん食べるとポパイのように強くなれる」と言い聞かされた人も多いのでは?ほうれんそうの大産地テキサス州には、ポパイの銅像まであります。

食べごろを間違えている?

おいしいのは成熟したもの

出回っているほうれんそうの多くは、じつは若どりされたもの。消費者の好みや出荷規格により、25センチほどのものが主流ですが、実際には、35センチ以上に成長したもののほうがおいしいともいわれています。成熟すると、各種成分も濃くなるのですから、うなずけますね。ただし、花が咲くまで育ちすぎて”ほうれん木(ぼく)”になると葉が堅くなり、味も落ちます。


ほうれんそうは雌雄異株

雄株を除去して一代雑種に

ほうれんそうは風媒花で、雄株と雌株があります。そこで、一代雑種を採種するには両親の品種を別々のうねにまきます。雌親品種に出る雄株を若い段階ですべて抜き取ると、雌株にできる種はすべて一代雑種になります。この抜き取る作業がけっこうたいへん。アメリカでは学生のちょっとしたアルバイトになっているとか。

バターとチーズと相性抜群

ほうれんそう、洋風の食べ方

クリームスープ、スフレ、キッシュ、タルト、グラタン、カレー・・・・・・。バターやチーズ、オリーブ油、クリーム、ヨーグルトなどと相性がいいほうれんそう。目先を変えるといろいろな料理が楽しめます。洋風料理では、冷凍品や乾燥品、かんづめのほうれんそうが重宝です。


都市近郊の収穫風景。ほうれんそうは夏は30日、冬は90日で収穫できるため、年に何回も出荷できる


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