bell pepper(英)

poivron(仏m)

緑美しく、栄養豊富なとうがらしの甘味種。きらわれたのは昔のこと。完熟ピーマンも人気。


辛味のないとうがらし

ピーマンという名前はフランス語(piment)に由来。英語ではベルペッパー、緑色のものはグリーンペッパー。
名前のとおり、ピーマンはペッパー(とうがらし)の仲間で、辛みのないものです。
とうがらしの辛みの成分はカプサイシンといいますが、ピーマンにはほとんど含まれていません。

【ピーマンの普及は戦後】

熱帯アメリカ原産のとうがらしがヨーロッパを経て日本へ渡来したのは、16世紀のころ。江戸時代にはかなり普及していたようです。
明治初期になって、ピーマンも含めてさまざまなとうがらしが欧米から導入されました。
今では日本の各地にはほどよい辛みのあるとうがらしの品種が栽培されています。
辛味種が広く栽培されるようになったのに対し、ピーマンはさほど普及しませんでした。一般家庭の食卓にものるようになったのは戦後のことです。


中型・緑

普通に出回っているもの。30〜40gぐいらの大きさで、肉が薄めの品種がもっとも多い。主な品種は京波、ちぐさなど。

中型・赤

中型・緑の完熟品

大型・赤

完熟果、クイーンベル

大型・黄

完熟果、キングベル

大型・オレンジ

完熟果、サンセットベル

大型・紫

加熱すると濃い緑色になる。オランダから輸入。

大型・黒

ヨーロッパでの改良品種チーレネグロ。

加熱すると黒が緑色になる。

大型・緑

肉厚でつめもの料理に最適。

品種はカリフォルニアワンダーなど。

パプリカ

ハンガリーから輸入していたが、現在はわが国でも生産。


【品種改良で食べやすく】

消費が急速に伸びたのは、昭和30年代後半。そのころのピーマンは大型で肉厚の品種でした。
独特の香りが強いため、敬遠する人も少なくありませんでした。そのため、食べやすい品種の開発がすすめられ、くせが少なく肉の薄い、現在の中型のピーマンが誕生しました。

【栄養豊富なピーマン】

つややかに輝く緑色のピーマンは栄養たっぷり。カロテンやビタミンCが多く含まれます。
ピーマン100グラム中のビタミンC含有量は約80ミリグラム。中ぐらいの大きさのピーマン4個で1日の所要量をとることができます。
生のままではたくさん食べられなくても、和・洋・中を問わず多くの料理に使えます。

【おしゃれな完熟ピーマン】

緑色のピーマンは未熟なうちに収穫したもの。完熟させると、赤ピーマンになりますが、オレンジや黄色になるものもあります。
最近はグルメ志向にのって大型のカラフルな完熟品が出回るようになりました。
くせがなく、柔らかく、甘い味がします。サラダや料理のいろどりにと使用範囲も広がっています。


マイルドなおいしさで

子どもたちもピーマン党

ピーマンはビタミンCが多く、カロテンも豊富。家族の健康を気づかって、あの手この手で食べさせようとする母親と、ピーマン独特の香りをいやがる子どもとの根くらべが続いてきました。
しかし、最近は、大部分の品種はくせのない味に改良され、とても食べやすくなりました。
ピーマンは高温を必要とし、寒さに敏感な野菜です。南国高知や宮崎は、温暖な気候を利用したハウス栽培で大産地となりました。
冬から春にかけて出回るピーマンはこの両県で約8割程度を占めます。一方、夏から秋にかけて出回るのは茨城、岩手などでこの両県で約3割程度を占めています。
数個ずつ袋につめて売られていますが、ピーマンは形も大きさもまちまち。どうやって同じ重さにつめるのでしょうか?
手でつめる熟練の名人芸もありますが、ひとつひとつの重さを計り、同じ重さに組み合わせて袋につめる、自動包装機が大活躍しています。

冬のハウスもの約半数を占める宮崎産ピーマンの収穫

緑鮮やかに実るピーマン

白い星形の花を咲かせる


とうがらしはピーマンの辛い兄弟

ししとうがらし

辛くないとうがらしの代表品種。名前は実の先端の形が獅子の口先に似ていることに由来。略してししとうとも。焼き物や天ぷらに。

伏見甘(ふしみあま)

辛味の少ない、長くて先のとがった青とうがらし。葉とうがらしとしての利用も多い。京阪神地方が産地だが、生産量は少ない。

八房(やつふさ)

鷹の爪より実は大きく、辛みは少なめ。房状に実がなることからこの名がついた。若い枝は葉とうがらしとして、つくだ煮などにも。


赤や黄色をおしゃれに食べるカラフルなピーマンが流行中

都会のスーパーに、色とりどりの大型ピーマンが並びはじめたのはここ数年のこと。
よく見かける赤や黄色のほかに、オレンジ、紫、白、黒、茶、合計7色あります。肉厚で甘い、生食用のピーマンです。
6〜11月は主にオランダからの輸入品。11月の終わりからは高知産が出回ります。中型・緑を完熟させた赤ピーマンは、中国料理によく使われます。茨城が主産地です。

7つの海をゆくとうがらし大航海時代に世界各地へ

1492年、コロンブスはアメリカ大陸に到着し、珍しい作物をスペインに持ち帰りました。とくにとうがらしは香辛料として歓迎されました。
その後、ヨーロッパ中に広がったとうがらしは、ポルトガル人によってアジア各地に持ち込まれました。
日本へも16世紀末には伝わっていたともいわれています。
コロンブスのアメリカ到着から100年たらずのことでした。

とうがらし伝来の経路キムチの国でのミステリー

韓国では、白菜だけでなく、だいこんやきゅうりなどで多様なキムチを作ります。このキムチに欠かせないのがとうがらし。
韓国では17世紀に日本から伝わったとされ、当時の別名も”倭がらし”。ところが日本では、豊臣時代に大陸から来たという説も。
日本から渡ったものを、とうがらしを知らなかった日本人が持ち帰ったため、このようなミステリーが生まれたという人もいます。

食欲を刺激する辛さと香り世界のとうがらし調味料

山椒やごまの入った七味唐辛子はうどんやそばにつきもの。中国には辣油や豆板醤があり、ピザなどのイタリヤ料理やメキシコ名物のタコスでもピリッとしたソースが味をひきたてます。インドや東南アジアなどの暑い国々では、とうがらしぬきの食生活は考えられないほど。中南米では紀元前から使われていたというアメリカ大陸の香辛料は、今では世界中で活躍しています。

スーパー店頭のカラフルなピーマン

とうがらしが山積みの韓国の市場


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