かつては露地栽培で夏場を中心に出荷されていましたが、施設栽培の普及で高知県や福岡県など、暖かい地方での冬の栽培も盛んになって、周年出荷されるようになりました。


なすは畑の赤ワイン

インドが原産で高原を好む植物です。日本へは中国から入ってきて奈良時代には栽培されていました。

現在よく見られているものは、中長(長卵形)なすや長なすですが、きわめて長い博多長、丸型の賀茂なすなど、長さや形も色々です。仙台の長なす、山形の民田なす、新潟の丸なすなど、地方に特有のさまざまな品種もあります。

ハウスを使い10月から翌年6月まで収穫する長期どりでは、1株から約150個も収穫していきます。

なすはくせのない味なので、和風、中華風からイタリア料理などの洋風まで、幅広い料理に使えます。赤ワインで注目されているポリフェノールが皮にも実にも含まれていて、老化やがん発生、悪玉コレステロールを抑える働きがあると言われています。


高知県はなすの収穫量が全国1位の産地です。

ハウスでは秋から翌年の夏の初めまで、長期にわたって収穫が続きます。

福岡県では、在来の大長なすを改良した長なすの栽培が盛んです。

なすを選別して箱に詰める作業の機械化が進んでいます。

群馬県では夏から秋を中心に出荷するなすが露地で栽培されています。



夏が極端に多く、冬が少ない入荷量だったものが、なだらかな山型に変わりました。

施設栽培による長期どりで、夏以外の季節にもたくさん入荷するようになったのです。


なす・ミニデータ

●1世帯当たり年間購入量 6.1kg

● 1世帯当たり年間支出金額 2.853円

〔1998年総理府・家計調査年報(全世帯)〕

●収穫量上位10県ランキング

@高知A福岡B熊本・群馬D茨城E愛知F埼玉G栃木H千葉I徳島

〔1997年農林水産省・野菜生産出荷統計〕


太陽が色つやのよいなすを育てる

なすの果皮の紫色は、生育に有害な紫外線をはね返す働きをします。なすに太陽の光が当たると、果皮の紫色は濃くなり身を守ります。

なすの実に袋をかぶせておくと、白いなすができます。

生育途中のなすの株を真上から見ると、葉が重なり合わないように広がっているのがわかります。

太陽の光がよく当たるように葉を展開しているのです。

生育が進み、枝が伸びると、日当たりや風通しが悪くなり、倒れたり、枝分かれのところが裂けやすくなるおそれがあります。

そこで、V字に枝を導いて混み合わないようにします。

長期にわたる栽培では、収穫しながら枝を切って整理します。

こうすると、葉に光がよく当たるようになり、新しく発生した枝から品質のよい実がたくさん収穫できます。

この技術は、家庭菜園での栽培にも効果的です。

「親の意見となすびの花は千に一つも仇(むだ)はない」といわれていますが、栄養状態が悪いと花が落ちてしまったり、花は咲いても実がならないものが出てきます。

雌しべが短い栄養不良の花

雌しべが長い健全な花

なすの花粉は雄しべの先端の小さな穴から出てきます。花は下を向いて咲き、風で花がゆれると、花粉が出てきて雌しべにつきます。育ちが悪くて、雌しべが雄しべより短いと花粉がつきません。それで実がならないものが出てくるのです。

よい花を咲かせるには、太陽の光だけでなく、肥料を適切にほどこすなど、入念な管理が必要です。


中長(長卵形)なす

品質も優れていて、最も多く出回っている

長なす

西日本や東北でつくられているなすで、煮物に向きます。

大長なす

九州で作られ、全国に出荷されています。やわらかくて、焼なす、煮なすに向きます。

丸なす

東北から北陸、関西に多いなすで、肉がしまっています。京都の賀茂なすは有名です。

小丸なす

ひと口で食べられるくらいの小さななすで、山形の民田なす、出羽小なすなどがあり、塩漬けやからし漬けに向いています。

米なす

ヨーロッパ・アメリカの品種をもとに育成した大型のなすで、へたが緑色をしています。田楽やバター炒めに向いています。


実に張りがあり、色つやがよく紫色が濃いものがおいしい。

新鮮ななすは、へたの切り口が新しく、とげがチクチクします。

なすは風邪をひきやすい」といわれます。風に当たるとしなびれてくるので、ポリ袋に入れて水分の蒸発を抑え、冷やしすぎないように新聞紙にくるんで冷蔵庫の野菜室に入れて、早めに食べます。

なすには、あえもの、炒めもの、揚げもの、焼きもの、漬けものと、色々な料理法があります。

生で、しその葉といっしょに薄い塩でもむと、香りと味が楽しめます。

なすを焼くには焦げない程度の強火を用います。弱火で時間をかけると、火が通るまでに水分が出ていき、いっしょにうま味も逃げてしまいます。

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