日本は世界でトップクラスのいちご消費国。東京市場の入荷は、30年前とは大きく様変わり。ハウス栽培の普及で、収穫がどんどん早まり、収穫期間も延びて、収穫量が増加しています。


冬のデザートへ前進

 東京市場への月別入荷量を見ると、30年前には、4・5月をピークにした春から初夏の味だったのが、今ではむしろ冬の味で、11月から店頭に顔を見せ、冬から初夏までたっぷり楽しむことができます。

いちごの主産地は、東の栃木・静岡・愛知と西の福岡・佐賀・長崎。これまでは、品種も東の女峰、西のとよのか二分していましたが、次をねらう新品種が登場して、品種多様化時代に入ろうとしています。


栃木県は全国一のいちご産地。東の横綱品種として君臨してきた女峰のふるさとですが、同じ栃木県農業試験場が育成した、食味のよいとちおとめ(写真)に主役が交代しています。
福岡県は、西の横綱品種とよのかの産地として、東京や大阪に長距離出荷しています。甘い香りの漂うハウスのなかの木箱は、受粉用に放育されているミツバチの巣箱です。
静岡県もこれまでは女峰を主体に出荷していましたが、早生大玉・高糖度の章姫(あきひめ)に主役交代。写真の人は、章姫を育成した静岡市の民間育種家・萩原章弘さん。



冬場の入荷量が大きく増加しているのは、ハウス栽培の普及とともに、早く花を咲かせる育苗技術の進歩が原動力になっています。

夏場はケーキなど業務用のために、秋田や北海道のほか、アメリカからも空を飛んで入荷します。


●1世帯当たり年間購入量 4.1sk

●1世帯当たり年間支出金額 4,841円

〔1996年総理府・家計調査年報(全世帯)〕

●収穫上位10県ランキング

@栃木A福岡B静岡C愛知D佐賀E長崎F熊本

G千葉H埼玉I宮城

〔1995年農林水産省・野菜生産出荷統計〕


大玉で糖度が高く、酸味は少ない。果肉は緻密で多汁質。栃木県では女峰に代わる主力品種に。

すらりと長い紡鐘形の果実。平均18gの大果。酸味が少なく甘い。静岡県の”ポスト女峰”の新品種。

安定していて高い糖度、肉質は粘質で緻密。ビタミンCも多く、着色・光沢など外観もよい。佐賀県、愛媛県で増えている。


早く花を咲かせる育苗技術

いちごの育苗は春から夏に行われますが、花のもとになる”花芽”の分化は、秋から冬の「短日・低温」で促進されます。そこで早く花芽をつけるために、夏のうちに人工的に苗を「短日・低温処理」する技術がとりいれられています。

早期出荷のための育苗技術の一つが、「夜冷育苗」。仕立てた苗を約20日間、夕方から朝まで左に見える温度10℃の保冷庫に入れて、昼間は8時間だけ庫外に。この処理をした苗は11月から収穫できます。

収穫・管理作業を楽にする。

いちご栽培は、毎日の育苗管理や収穫に腰を曲げての作業が続きますが、そのつらさを解消できる「高設ベッド栽培」が各地の農家に広がっています。

肥料養分は、かん水を兼ねて液肥で自動的に供給され、施肥やかん水の省力化も実現しています。


赤い色が濃くつややかで、タネまで色が濃くて、ヘタが濃い緑色のものがおいしい。ヘタがしおれていたり、変色したものは鮮度が落ちている証拠です。過熱すると果皮が白くなったり、やわらかくなりすぎるので、ピンとしっかりした形で大きめの粒を選びましょう。パック詰めのものは底から見て粒がつぶれていないか、果汁がしみ出していないかの確認をして。日持ちしないので要注意です。 いちごは水気を嫌うので、洗ったりヘタを取ったりせずにラップをかけて冷蔵庫へ。2〜3日中に食べましょう。冷凍保存するときは、洗ってヘタを取り、バットに1粒ずつくっつかないように並べ、冷凍庫へ。完全に凍ってから、冷凍用ポリ袋に入れ、ふたたび冷凍庫へ。半解凍(解凍するときに出る水分はにがさないように)の状態でジャムやジュースにすれば、品質や香りをあまり損なわず食べることができます。

いちごドレッシング(材料) いちご100gに対して

白ワインビネガー 40cc

サラダ油 100cc

レモン汁 1/2個分

塩・こしょう 少々

いちごドレッシングは上記の材料をミキサーにかければ完成。シーフードサラダや肉料理に添えて、彩りと香りを楽しむおしゃれな一品に。いちごジャムはいちごの保存利用の定番。いちごと同量のグラニュー糖とレモン汁(適宜)を加え、アクを取りながら20分ほど煮詰め、熱いうちに熱湯消毒した保存ビンに入れ、フタを開けたまま完全に冷まします。いちごは生でもデザートでとして十分に楽しめますが、それだけではもったいない。ちょっと工夫すれば、食卓を彩るすてきな食材に。

いちごを洗うときは、ヘタをつけたままザルに入れて、薄い塩水で手早く洗いましょう。ヘタをとって水に長くつけておくと、ビタミンCが減少するので注意。ヘタはまとめてつまみ引っ張ると簡単にとれます。また、ケーキのデコレーション用など、茎の部分まできれいに取り除きたいときは、市販のヘタ取り器を利用します。ヘタのまわりを回転させながらくりぬくときれいに茎の部分までとれます。


「四季の野菜」目次ページへ
「野菜の情報」トップページへ